貫多とわたし

 私の日々の楽しみは、読書です。最近特に面白かったのは、有島武郎の「生れ出ずる悩み」、長塚節の「土」、色川武大の「狂人日記」、高橋和巳の「堕落」、辺見庸の「月」、そして堀田善衛の「方丈記私記」などなど。

 西村賢太の「苦役列車」も印象に残っています。

 「劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は……。」

 日雇いで、明日もわからぬ主人公の姿は、他人事とは思えません。私も、学生の頃のアルバイトから始まり、非正規の仕事を転々としました。パン屋、喫茶店、サンドイッチ屋、ラーメン屋、アイスクリーム屋、病院の皿洗い、日払いの派遣、人形劇団員、施設職員、テレフォンアポインター、工場作業員、日本語講師などなど。人形劇団員のときは、他にアルバイトを2つかけ持ちしていました。何も持たない私には、主人公の姿が身につまされます。

 いつの時代も、生きてゆくのは大変なものです。せめて、すべての人に、最後のセーフティーネットを準備する社会であってほしいです。

浮遊する城・りょう城のお城

危険なので本人以外入ってはいけません