ネイル
昨年10月から、ネイルアートにはまっている。ジェルネイル。お店で爪にいろんなデザインのジェルを塗ってもらう。
今までの人生、ネイルになど全く興味がなく、デパートの片隅のそれらしきオープンな空間(エスカレーターの下など)でそれらしき作業をしているのを見ても、「なんだかしゃらくさいな」ぐらいにしか思っていなかった。
そんな私がネイルに目覚めたのは、会社の上司がある日スカルプ(長い付け爪)をしているのを目にした瞬間だった。彼女の爪には、楽し気なスマイルマークやヒョウ柄が描かれていたのだ。爪に、こんなにいろんなものが描けるのか!!私は心を奪われ、わくわく感が抑えきれなくなった。その日、初めてネットでネイル画像を検索してみた。ネイビーが好きなので「宇宙ネイル」で検索すると、なんと、小さい爪の上に星々はもちろん、精巧に描かれた宇宙飛行士が浮かんでいた。ネイルの世界には宇宙が広がっていた。血中濃度がどんどん高くなり、ついに自らもジェルネイルに挑戦することに決めた。
ネイリストのかっこよさも、ネイルにはまったひとつの要因である。世間話をしながらあるいは黙々と、てきぱきと、決然と、マシンや器具を使いこなしてひとつひとつの工程を仕上げてゆく。まさに職人である。「おまかせします~♡」という気分で身を委ねる。
あるネイリストと映画館のポップコーンの話題になったとき、彼女は「ポップコーン好きすぎて、作っちゃったんですー」と言い、指を見せてくれた。なんとその小指には、小さな立体のポップコーンが5個、乗っかっていた。彼女は「ジャンキーなものって、美味しいですよねー」と言い、他の4本の指にそれぞれ乗っかっている「ハンバーガー」「コカコーラ」「ピザ」「フライドポテト」を見せてくれた。もう片方の手のそれぞれの指には、それぞれ違う色の「グミベア(くまさんの形をしたグミ)」が乗っかっていた。なんと変態な、自由で垂直に掘り下げることが可能な世界なのだろう。私は泣きそうになった(うそ)。ところでネイリストは爪に絵を描くとき、逆さまに見た状態で描くんですよ。当たり前だけど。驚きました。
ジェルネイルとともにある生活。爪が、かわいい!!それだけで多幸感。しあわせなのです。まず、分厚い。そして手触りが、とぅるとぅる~。そして、数週間経ちだんだん伸びてくると、爪の先が常にひんやりしてくる。とぅるとぅるで、ひんやり、これが、たとえようもなく心地よい。爪と爪がぶつかったときのチープな音もよい。伸びた根元も、なんだかいとおしい。自分の手なので、眺めるのもこっそり触るのも簡単。ずっと眺めて、ずっと触っている。
ジェルネイル施術当日は、そのネイルにまだ馴染みがなく、「初めまして。よろしくお願いします」という感じだが、2週間経つ頃にはすっかり愛着が湧き、3週間過ぎる頃には、「あと2週間、(取れないように)一緒にがんばろう」という同志的連帯感が芽生え、5週間経ってお店に付け替えに行くときには、「今まで楽しかったね……お別れだね」と少し感傷的になる。
そして、付け替え。5週間一緒に過ごしたジェルネイルをお店でオフしてもらうわけだが、これが、気持ちよい。まず、電動マシンでガーーーーっと削る!大切な同志を惜しげもなく削る!!さっきまでの大切なネイルは粉々、文字通り粉になって吹き飛ぶ。なんともいさぎよいお別れの仕方ではないか。跡形も残らない。さようならだ。
今まで、「かわいい」ものに対して興奮した経験はないのだが(息子を除く)、最近の私は毎日「かーわーうぃーうぃー」を連発し、家族のひんしゅくを買っている。次はどんなデザインにしよう、と悩み過ぎて恋する人のように辛い。ああ、これが「はまる」ということなのか……と、喜びとある種の無力感を感じつつ、次は梅雨だからエメラルド色のデザインにしよう……などとやはり血中濃度は下がらない。
初め、ネイルサロンに通うって、なんだか贅沢かも……とも思ったが、一日当たり換算で100円ほどである。なんと25年以上もシラフで生きているのだから、それぐらいの楽しみがあってもいいではないか。一人で完結できる、シラフでテンションが上がる。
謎なのは今時、ネイルサロンは男性入店不可なところがほとんどなことだ。男性のネイリストもいるのに、なんでだろう?あと、ネイルにどれぐらい違法なものを描いたら逮捕されるんだろうか?ネイルの奥深い世界。もっと覗いてみたい。
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